
夜、部屋の電気をひとつ消して、窓を開けました。
昼のあいだ、この部屋がためこんだ熱が、ゆっくりと出ていきます。
網戸ごしに入ってくる風は、思っていたよりも涼しくて。
カーテンが、ふう、とふくらんで、また戻る。
その動きを、しばらく、ぼんやり見ていました。
風がとおるのは、そこに、なにも置いていないからなんですよね。
あたりまえのことなのに、その夜はじめて、ちゃんと気づいたような気がしました。
今年は「手放しと再構築の年」だと、あちこちで言われています。
風の時代が本格的に動きはじめて、
豊かさの意味が、持っている量から、静かにずれてきている、と。
そういう言葉をこの夏、いくつも見かけました。
わたしは、なんだか、ほっとしたのです。
増やせない自分を、もう責めなくていいのかもしれない、と思えて。
手放せないのは、弱いからじゃない
使わない食器。
もう着ない服。
読み返さない手紙。
いらないと分かっているのに、手が止まる。
あれは、意志が弱いからではないと思うのです。
そこに、そのころのじぶんが、まだ座っているから。
大事にしてきた時間ごと捨てるみたいで、こわいだけ。
だから、手放せない自分を、まず、責めないでいてほしいのです。
手放すことは、うしなうことじゃない
手放すって、減らすことのように聞こえます。
でも本当は、選び直すこと、なのだと思います。
「もういらない」ではなくて、
「もう、じゅうぶんもらった」。
そう言えたとき、はじめて、手のひらがひらく。
ひらいた手にしか、新しいものは、のらないんですよね。
余白は、なにもない場所ではなくて
予定のない一日。
物のない棚。
返事をしなかった、夜。
むだにしたみたいで、落ち着かないときがあります。
でも、あの夜のカーテンとおなじで。
空いているから、風が入ってこられる。
余白は、なにもない場所ではなくて、なにかが入ってくるための場所なのだと思います。
今日は、こんなことを試してみませんか?
「引き出しを、ひとつだけ開ける」……部屋ぜんぶを片づけようとしなくて大丈夫です。ひとつだけ。ひとつ空けば、それで今日は上出来です。
「もう、じゅうぶんもらったね、と声に出す」……手放すものに、ひとことだけ。捨てるのではなく、お礼を言って見送るのだと思うと、指がすこしゆるみます。
「予定を、ひとつ空白のままにしておく」……埋めたくなる気持ちを、その日だけ、こらえてみる。空けておいた時間に、なにが来るかを、楽しみに待ってみてください。
最後に
ぜんぶを手放す必要は、ありません。
大切なものは、そのまま抱えていていい。
ただ、いつのまにか背負っていたものの中に、
もう自分のものではなくなったものが、まざっていないか。
ときどき、そっと確かめるだけでいいのだと思います。
減らした量で、豊かさが決まるわけでもありません。
まわりのペースに合わせて、急いで捨てなくていい。
あなたのタイミングで、ひとつずつ。
今日も、あなたにとって穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
窓は、もう少しだけ、開けておくことにします。
カーテンが、ふう、とふくらんで。
空いたところを、夜の風が、通っていきます。
おやすみなさい。
また、夜のどこかで。



