
角を曲がったとたん、
ふわっと、甘い香りがしました。
金木犀です。
姿はどこにも見えないのに、
香りだけが先に、
秋ですよ、と知らせてくれる。
不思議なもので、あの香りをかぐと、
一瞬で、昔に連れていかれます。
学校からの帰り道とか、
昔住んでいた家の近所とか、
もう会わなくなった友だちの顔とか。
香りは、記憶の扉に
いちばん近いところにあるのだそうです。
懐かしさって、
ちょっとせつなくて、
でも、不思議とあたたかい。
あのころに戻りたい、というより、
あのころもちゃんとあったなあ、という
確かめのような気持ち。
実は、懐かしさには
心を回復させる力がある、
という研究もあるのだそうです。
孤独感がやわらいだり、
「自分の人生、悪くないな」と
思えるようになったり。
懐かしさは、心のビタミンなのです。
ときどき、思い出の棚卸しを
だから、忙しい毎日の合間に、
ときどき懐かしいものに
ふれる時間を、どうぞ。
昔よく聴いた曲を、かけてみる。
古いアルバムを、一冊だけ開く。
学生のころ好きだったお菓子を、買ってみる。
過去を懐かしむのは、
後ろ向きなことではありません。
ここまで歩いてきた道を、
ちゃんと愛おしむことです。
最後に
金木犀の花の時期は、
驚くほど、短いのです。
どうかこの数日、
深呼吸を、忘れずに。
今日も、あなたにとって
穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
明日もあの角で、
あの香りに会えるでしょうか。
会えたら少し、遠回りして帰ります。
また、夜のどこかで。



