
夜の道に、灯りがひとつ。
ぽつんと立ったあかりが、そのまわりだけを、やわらかく照らしています。
丸くなった光のなかだけ、昼の続きみたいに、あたたかい。
虫の声が、少し遠くで鳴っています。
わたしは立ち止まって、なんとなく、そのあかりを見ていました。
手のなかには、スマホ。
今日もわたしは、いくつのことを、この四角い画面に聞いたのだろう。
ふと、そう思いました。
わからないことは、すぐ調べられます。
この頃は、AIに聞けば、数秒でていねいな答えが返ってくる。
占いのことも、相性のことも、これからの流れも。
知りたいことは、たいてい、その日のうちに手に入ります。
便利です。
わたしも、使っています。
ただ、ときどき思うのです。
答えは、こんなに簡単に手に入るのに。
「ただ、聞いてもらうだけ」の時間は、いつのまにか減っていないでしょうか。
答えが、ほしいわけじゃない日もある
ほんとうは、どうしたらいいのか、うっすら分かっている。
それでも、しんどい。
そういう日って、ありますよね。
そんなとき、正しい答えを渡されると、なぜだか少しだけ、遠くなる。
「わかってる、けど」と、心のなかでつぶやいて。
その先を、飲み込んでしまう。
言葉にならないまま、置いていかれる気持ち
すぐに答えが出る世界では、まとまっていない話は、行き場をなくします。
うまく説明できないこと。
理由のない不安。
誰が悪いわけでもない、もやもや。
検索の窓に入れるには、長すぎるのです。
だから、そのまま、胸の奥に置いておく。
気づかないふりをして、また新しい一日が始まる。
話すことは、整理する前の作業
人は、話しながら、自分の気持ちを見つけていくのだと思います。
順番は、ぐちゃぐちゃでいい。
途中で、矛盾したっていい。
口に出したときにはじめて、「あ、わたしはこれが嫌だったんだ」と分かる。
その瞬間が、いちばん自分に近い場所です。
答えは、そのあとからで、じゅうぶん間に合います。
今日は、こんなことを試してみませんか?
「紙に、下手なまま書いてみる」
きれいな文章にしなくて大丈夫。単語だけでもいいのです。誰にも見せない紙に、出てきた順に置いていくだけで、胸のなかが少し軽くなります。
「声に出して、ひとりで言ってみる」
お風呂でも、車のなかでも。「ほんとは、疲れてる」と、自分の耳に聞かせてあげてください。聞き手は、自分でもいいのです。
「ひとつだけ、誰かに話してみる」
全部でなくていい。今日いちばん引っかかったことを、ひとつだけ。「解決しなくていいから、聞いて」と、前置きしてもいいですね。
最後に
調べれば、答えは出てきます。
でも、あなたの気持ちだけは、あなたが口に出すまで、この世界のどこにも書かれていません。
だから、急いで結論を出さなくていい。
まとまらないまま、こぼしていい。
あなたのペースで、少しずつで、じゅうぶんです。
今日も、あなたにとって穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
夜道のあかりは、道ぜんぶを照らしてはくれません。
足もとの、ほんの少しだけ。
それでも、人はそこを歩いていけます。
おやすみなさい。
また、夜のどこかで。



