
洗いものの手を止めて、窓の外を見上げました。
月が、少しだけ欠けています。
まんまるではない。
右のふちが、そっと削れたような、そんなかたち。
指先はまだ濡れていて、秋の夜気に触れると、ひやりとしました。
それでも、しばらく見ていたくなる月でした。
わたしは、なんだか嬉しいのです。
まるくない月が、こんなにきれいだということが。
昔の人は、欠けた月を待った
この季節、少し欠けた月を愛でる習わしがあります。
満月ではなく。
満ちる少し手前の月を、わざわざ選んで、眺める。
不思議だな、と思っていました。
どうせなら、まんまるのほうがいいのに、と。
でも、こうして見上げてみると、わかる気がします。
欠けているから、そこに「これから」がある。
完成していないものには、まだ続きがあるのです。
足りないところばかり、数えてしまう
一日を終えて、布団に入るころ。
できなかったことばかりが、頭に浮かびます。
返せていない連絡。
やろうと思っていたのに、手をつけなかったこと。
あの場面で、もっとうまく言えたはずの言葉。
欠けている部分だけを、じっと見つめてしまう。
けれど、月を見ながら思ったのです。
誰も、月に向かって「今日は欠けてるね、だめだね」なんて言わない。
欠けているのを、そのまま、きれいだと言う。
『欠けたところがあるから、美しいのだ』ということです。
満ちるのを、急がなくていい
月は、毎晩ちゃんと変わっています。
でも、一晩で満ちようとはしません。
すこしずつ、すこしずつ。
自分の速さで、まるくなっていく。
そして満ちたら、また欠けていく。
それを、何万年も繰り返している。
まるくあり続けなくていいのだと、教えてくれているようです。
今日は、こんなことを してみませんか?
「空を、ひと呼吸ぶん見上げる」
雲で見えなくてもかまいません。上を向くと、それだけで胸がひらきます。首の後ろの力が、すっとゆるみます。
「できなかったこと、を できたことに書き換える」
『掃除ができなかった』ではなく『ごはんを作った』。同じ一日を、別の側から数え直してみてください。
「自分の欠けを、ひとつだけ許す」
直したいところを、今日は直そうとしない。『これはこのままでいい』と、声に出して言ってみる。それだけです。
最後に
あなたは、まだ満ちる途中なのかもしれません。
あるいは、満ちたあとの、ゆるやかな下り坂かもしれない。
どちらでも、いいのです。
どちらの月も、空にあるかぎり、ちゃんと光っています。
焦らず、無理せず、あなたのペースで。
今日も、あなたにとって 穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
窓を閉めて、ふきんで手を拭きます。
あの少し欠けた月は、まだそこにいます。
おやすみなさい。



