
どこかの家の風鈴が、
ちりん、と鳴りました。
八月も、終わりに近づいて、
台所に立つ気力が、
いよいよ底をつく頃です。
白状しますと、わが家の夏の食卓は、
そうめんの登場回数が、すごいです。
そして昔は、それに
ちょっと罪悪感がありました。
「またそうめんでごめんね」
「ちゃんと作らなきゃ」
暑さでへとへとなのに、
心の中の審査員だけは、元気なのです。
でも、あるとき気づきました。
この暑さの中で、
家族に何かを食べさせている。
それだけで、もう
満点なのではないか、と。
手抜きという言葉は、
ずるをしているように聞こえるけれど、
本当は、限りある体力を
大事なことに配分する、
生き抜くための知恵です。
プロの料理人だって、
夏はメニューを変えるのだから、
家庭の台所が変えて、悪いはずがない。
「ちゃんと」の中身を、入れ替える
「ちゃんとした食事」の「ちゃんと」を、
品数や手間で測るのを、やめてみる。
食べた人が元気になれば、ちゃんと。
作った人が倒れなければ、ちゃんと。
そう決めてしまえば、
そうめんも、冷やっこも、
お惣菜も、ぜんぶ「ちゃんと」です。
最後に
夏の台所に立つすべての人へ。
今日も食卓を回したこと、
それがもう、りっぱな仕事です。
今日も、あなたにとって
穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
ちりん、とまた風鈴。
あの音みたいに、涼しく、軽く。
夏の残りを、いきましょう。
また、夜のどこかで。



