美容院の予約を、また一週間うしろにずらしました。
前髪が、もう目にかかっています。
洗面所の鏡の前で、指で横に流してみて、ため息が出ました。
行けばいいだけなのは、わかっているんです。
面倒なのは、切ってもらうことではなくて。
椅子に座って、鏡ごしに「今日はどうしますか?」と聞かれる、あの数秒です。
同じことで困っている人は、多いみたいです。
前髪を何センチ切るか、うしろはどうするか。
細かく聞かれても、答えが出てこない。
「わからないので、適当にお願いします」と言うと、美容師さんが困った顔をする。
見本の写真を出されても、どれが自分に似合うのか、わからない。
結局、一センチくらい切って帰ってきて、
家族に「え、切ったの?」と言われてしまう。
それから、美容院に行くこと自体が憂うつになった。
そういう声を、いくつも見かけました。
読んでいて、他人事には思えませんでした。
わたしにも、おぼえがあるからです。
好みがないのではなくて
「どうしますか?」で止まってしまうのは、
自分の好みがないから、ではないと思います。
ふだん、あまり聞かれないだけなんです。
夕飯は、家族が食べたいもの。
出かける先は、みんなが行きたいところ。
家族の夕飯の材料はすぐ決まるのに、自分が食べるものだけ決まらない、という声もありました。
自分がどうしたいかを言う前に、たいていのことは決まっていく。
そういう毎日が長いと、いざ聞かれたときに、答えをどこに探せばいいのかわからなくなります。
「いや」なら、言えることがある
「どんな髪型がいいですか」には、答えられなくても。
「これはいや」なら、出てくることがあります。
耳が出ると、なんだか落ち着かない。
結んだときに、うしろがはねるのが気になる。
朝、ドライヤーに時間をかけたくない。
これは、毎朝鏡の前に立っている、あなたの体が知っていることです。
雑誌の中から「似合う髪型」を頭で選ぶより、ずっと確かです。
ちゃんとした答えでなくていいんです。
「なんとなく、いや」も、「なんとなく、いい」も、
あなたの中から出てきた、ちゃんとした返事です。
今日は、こんなことを試してみませんか?
「行く前に、『いや』を三つメモしておく」
どうしたいか、ではなく、どうなるといやか。
思いついたものを、スマホのメモに一行ずつ。
それを見せるだけでも、話はずいぶん進みます。
「『わからない』を、最初に言ってしまう」
「自分でも、どうしたいかよくわからなくて」と、座ってすぐに。
わからないまま一緒に探してもらうのは、ずるいことではありません。
「帰り道に、首のうしろをさわってみる」
家族が気づかなくても、
首が軽くなって、自分が少しすっきりしていたら、それで十分です。
最後に
「どうしますか?」にうまく答えられないのは、
あなたが、長いあいだ、ほかの人のぶんを先に考えてきたからかもしれません。
答えは、すぐに言葉にならなくていいんです。
いや、とか、なんとなくいい、とか。
そのくらいの小さな声から、少しずつ。
あなたのペースで、自分の「どうしたい」を思い出していけたら、それでいいと思います。
今日も、あなたにとって穏やかな時間が流れますように。
星と引き寄せのカウンセラー、宮西でした。
ずらした予約の日を、カレンダーに書き直しました。
その横に、小さく「耳は出さない」。
前髪は、それまで、横に流しておきます。
おやすみなさい。
また、夜のどこかで。



